奄美大島の空気には、海の塩気と黒糖の甘さが静かに混じり合っています。 その香りは、潮風に揺れるさとうきび畑の記憶。 この島では、黒糖は甘味としてだけでなく、やがて一滴の焼酎へと姿を変えます。「黒糖焼酎」は、奄美群島だけで造られる特別な蒸留酒。 戦後の酒税法により、この地以外での製造は認められていないため、全国でもほとんど知られていない“静かな遺産”です。黒糖焼酎は、そのエクスクルーシブさから、今密かに注目を集めています。
奄美市名瀬の外れに佇む「富田酒造場」は、1951年からこの黒糖焼酎をつくり続けています。 蔵の中には、地中に埋め込まれた甕(かめ)が今も変わらず息づいており、やわらかな発酵の時間を静かに重ねています。 創業時から使い続けられてきたその甕は、70年以上ものあいだ、この土地とともに歩んできた証でもあります。
富田酒造の黒糖焼酎の原料には鹿児島県産の白米、そして一般的な白麹ではなく、野性味ある黒麹を使用するのが特徴。その味わいは、洗練の中に少しだけ揺らぎを残すような、自然そのものの風合いを感じさせます。
新たな表現を纏った、島の一滴 そんな富田酒造場が、フードラボ「enwonder」と手を組み、2種のクラフトリキュールを生み出しました。 島の素材と香りを閉じ込めた「COFFEE」と「BOTANICAL」。 Amanariでは、現在この限定シリーズをお楽しみいただけます。
COFFEE — 焙煎と黒糖の深みを重ねて ベースは、富田酒造場の代表作「龍宮(りゅうぐう)」。 そこに、栄ファームの手煎りコーヒー豆とコーヒーチェリー、瑞々製糖の希少な黒糖、喜界島産の粗糖、芳香のあるカシャの葉、ほんのりとバニラ。 島の時間を重ねたような、奥行きのある一杯に仕上がりました。
BOTANICAL — 奄美の風と植物の記憶 ベースは同じく「龍宮」。 そこに、島特有の柑橘「タンカン」やミカンの葉、スパイス感のある月桃、やわらかなバニラの香りを重ねています。 島の多様な植物たちが、清らかな一杯の中にそっと姿を現します。 Amanariのおすすめは、シンプルにソーダやトニックで。 島の輪郭を映すような、一杯をぜひ。 奄美の自然と風土が詰まったこのクラフトリキュール。 一杯の中に、職人の手仕事と、受け継がれてきた時間が感じられます。 Amanariにて、この春うまれた味わいをお楽しみください。